昭和の50年代の夏である。強烈な夕立が降った。
祖父が商売をやっていて、子供のロンは程度の超えたどしゃ降りを面白がって店先に出ていた。ずぶ濡れにはなったが、やたらと温かい大粒の御祓を浴びるようなものだったことを覚えている。
刹那
ほんの直ぐの距離に雷が落ちた。
記憶が断片的なのだが、恐ろしい程の大雷音が轟き、目の前を妙な、声のようなものを発しながら、赤紫色の火の玉が走った。
気が付いたのは、数分後だったようだ。
ロンの記憶はグチャグチャになっていて状況の合理的な説明が未だに出来ずにいるのだが、感覚としては商売をやっていた店舗の中を吹き飛ばされて裏の鉄の扉に当たったような衝撃が残っていた。
しかし実際はそこには居らず、雨のひどい店先で気を失っていたようだ。
前方数メートルの場所に落ちたのを見たが、何故かロンの後ろ側に火傷が起こり、特に右足のアキレス腱あたりには相当な裂傷を伴っていた。
実はロンには、雷に打たれた経験がある。
子供の時分。右足に残る傷跡を見ると思い出す雷様との懐かしくも不思議な思い出である。
