更に一定期間が過ぎた。
会社や周辺環境にも落ち着きが出て来た頃で、就職先での彼の帰還を熱望する声も無くなったように思う。
不思議なもので、最初からなかったような扱いになる。
警察は家出人ごときであまり大きな捜査は行わないが、既にデータは全国に手配されている。
無事の知らせだけでもひっそりと通達し捜索願いを切っておかなければ、いずれ万人に情けない姿を晒してしまうことになる。
何年何十年と、日本社会そのものの監視は切れないからである。
住んでいた町も、県も、まともには歩けなくなるだろう。
それは彼を深く愛した人達が味わう地獄の長さそのものの期間となるのだ。
